ゲーム特化のブロックチェーンOasysのトークンエコノミクスを徹底解説

投稿日:2023年4月7日 | 最終更新日:2023年5月29日

本記事では、ゲーム特化のブロックチェーンであるOasysのトークンエコノミクスについて、公式で発表しているホワイトペーパーの情報を基に解説していきます。

 

Oasysの概要

 

Oasysは2022年2月に始まったブロックチェーンプロジェクトで、ゲーム特化型のブロックチェーンを開発しています。

 

ブロックチェーンゲームの普及(マスアダプション)をビジョンに掲げており、そのために必要な要素(ガス代をゼロにする、トランザクションを高速処理する等)の実現を行っているブロックチェーンです。

 

メンバーにはバンダイナムコ研究所やセガ、YGG関係者など業界著名人が名を連ねており、大手ゲーム会社のノウハウも活用して開発されていることが理解できます。

 

将来的には他のゲームとの連携やNFTに関わるマルチチェーン対応なども目指しており、2023年4月時点においてはイーサリアムやAstar Networkへの対応が予定されています。

 

 

Oasysブロックチェーンの構造

 

OasysではOasysアーキテクチャという独自のブロックチェーン構造を採用しています。

 

Oasysアーキテクチャは多層構造で構成されており、Oasysエコシステム全体の拡張性やセキュリティを司るHub-Layer(ハブレイヤー)と、ゲームのためのブロックチェーンを構築できるVerse-Layer(バースレイヤー)に分かれます。

画像引用元:Oasysホワイトペーパー – Introduction

 

 

Hub-Layer(ハブレイヤー)の役割

Hub-LayerはEVM対応のパブリックブロックチェーンです。

 

コンセンサスアルゴリズムとしてはPoS(Proof of Stake)が採用されているため、ブロックチェーンの運用はネイティブトークンであるOASを1000万OASステーキングしているノードによって行われます。

 

Hub-Layerでは一般ユーザー向けのDapps展開などは行われず、ネットワークの安定稼働やセキュリティの向上を目的として運用されています。

 

Verse-Layer(バースレイヤー)の役割

Verse-Layerは、端的に言うと実際にDapps(ゲーム等)が展開されるブロックチェーンです。

 

Verse-Layer自体はHub-Layerに乗っかっているブロックチェーン(いわゆるLayer2のブロックチェーン)という立ち位置であり、ゲーム中に起こるトランザクションを処理するためのブロックチェーンです。

 

Verse-LayerにはVerse(バース)と呼ばれる概念があり、これはゲーム個々の独自チェーンを意味します。つまりVerse-Layerは、Verseの集合体であると言い換えることができます。

 

Verseを作成したい場合、作成者は100万OASを特定のコントラクト(verse contract)に入金する必要があります。

 

各Verseはゲーム開発に参加できる個人やチームを制限することも可能であり、Verse作成者の移行に沿って当該Verseをパブリックブロックチェーン、コンソーシアムブロックチェーン、プライベートブロックチェーンのいずれかに変更することが可能となっています。

 

トークンの種類

Oasysはマルチトークン方式でエコシステムを構築しようとしています。

 

マルチトークン方式を採用することで、将来的に各Verse Builderが自由にエコシステムを構築できるようになります。

 

主に登場するのは以下の4つのトークンです。

 

  • OASトークン:Oasysブロックチェーンのネイティブトークン
  • Verseトークン:Verse-Layerのネイティブトークン
  • Gameトークン:Verse-Layer上のゲームのトークン
  • Dappsトークン:Verse-Layer上のDappsのトークン

 

2023年4月時点においては、OASトークンのみ詳細が分かっています。

以下より、OASトークンの解説を行います

 

OASトークン

OASトークンは、Hub-Layer上で発行されるOasys全体のネイティブトークンです。

 

ローンチ時の総供給量は100億トークンであり、主に以下のような利用用途が存在します。

 

  1. ガス代(トランザクション)の支払い
  2. Verse-LayerへVerseを構築する際のデポジット
  3. Oasysのガバナンスへの参加
  4. ステーキング報酬の獲得
  5. Oasysエコシステム上で発生する支払いに対する決済手段

 

Oasysのガバナンス

Oasysではコミュニティ主導のオンチェーンガバナンスが設計されています。

 

加えてガバナンスが、トークンホルダーによる直接民主主義的なガバナンスと、評議会による間接民主主義的なガバナンスの2つの方式に分かれているのが大きな特徴です。

 

従来のプロトコルで問題視されていた大量のトークンホルダーがガバナンスに参加することで意思決定への偏りが生じる問題を、評議会の制度を作ることで解決しています。

 

以下の図はOasysのガバナンスフローを示しており、『Council』が評議会を表しています。

 

画像引用元:Oasysホワイトペーパー – Governance

 

ネイティブトークンの供給スケジュール

OasysブロックチェーンのネイティブトークンであるOASの供給スケジュールは、以下グラフの通りです。

 

トークンの供給開始から72ヶ月かけて最大供給量の100億OASの供給を行う予定となっています。

 

画像引用元:Oasysホワイトペーパー – Tokenomics

 

トークン配分に関しては以下表の通りです。

 

項目 配分割合 概要
Foundation 12.0% 開発者以外でOasysに貢献した人たちへ配分(例:デザイン、データ分析、プロダクトマネジメント等)
Early Backers 14.0% プライベートセールでのトークン購入者や機関・個人投資家へ配分
Development 15.0% Oasysエコシステム上の開発者に対して配分
Ecosystem Community 38.0% Verse作成者やエコシステムパートナー、ユーザー、流動性提供者に配分(マーケティング目的を含む)
Staking Rewards 21.0% ステーキング報酬として配分

 

まとめ

本記事では、ゲーム特化のブロックチェーンであるOasysのトークンエコノミクスについて解説いたしました。

 

ブロックチェーンゲームのプレイ環境を改善すべく、ユーザーのガス代負担やスケーラビリティの問題の解決を行っているOasysブロックチェーンでは、かなり綿密なトークンエコノミクスが練られていることが分かります。

 

一点だけ意識しておかなければならないことがあります。それはOasysにはガバナンスによって変化の余地があるという点です。

 

トークンの供給スケジュール等が今後のガバナンスによって変更される可能性も考えられるので、常に最新情報をアップデートする必要があります。

この記事を書いた人

EY Strategy and Consulting入社後、グローバル案件を担当する。YouTuberのコスメディレクターや広告運用を経験後、Web3領域でゼロスリー(株)を創業。ソフトバンクアカデミア14期生。

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