AIアート×Move to Playのアルケモンのトークンエコノミクスを分析

投稿日:2023年5月18日 | 最終更新日:2023年5月29日

アルケモンの概要

『アルケモン』は、実際に歩くことによってゲームが進行すMove to Playのゲーム要素と、AIによって生成されるアートを組み合わせたブロックチェーンゲームです。

 

Alkemonと呼ばれるモンスターを集めてデッキを作成して歩くことで、Alkemon達が敵を攻撃して、敵を倒すゲームとなっています。敵に与えたダメージに応じてゲーム内トークンである$FRGを手に入れることができます

 

また、Alkemic Spellsという呪文を集めることでAIアートを生成することができます。AIアートは、呪文の組み合わせによってどの様なアートになるかが変わります。生成したアートをAlkemonのNFTの背景画像にすることも可能で、コンテストで選ばれれば、新たなAlkemonとしてゲームに登場する可能性もあります。

 

 

発行予定のトークンの種類と役割

『アルケモン』で発行されるトークンは主に以下の3つがあります。

 

AlkemonNFT ・ゲームに登場するモンスター

・Alkemonを集めて、デッキを構築することでゲームをプレイすることが可能

アーティファクトNFT ・プレイヤーが装備するNFT

・Alkemonのパラメーターを上昇させる

Kaeru coins($FRG) ・『アルケモン』の独自トークン

・発行数に上限が定めらている

 

 

トークンエコノミクス

$FRGの入手方法と使い道

『アルケモン』では、ゲームをプレイして敵に与えたダメージに応じて$FRGを稼ぐことができます。その他にも、シーズンごとのランキングによる報酬や、NFTのミントやワークアウトの目標設定への参加や、設定した目標の達成による報酬として、$FRGを手に入れることができます。

 

$FRGは、主に新たなAlkemonNFTのミントのために使用されます。AlkemonNFTは2体のNFTを持っていることで、繁殖を行い新たなAlkemonNFTをミントすることができます。

 

繁殖するために必要なものは以下の4つです。

・2体のAlkemonNFT(繁殖可能数のパラメーターが1以上のもの)

・アーティファクトNFT

・ムーブストーン(ソーシャルゲームの○○石的な存在)

・$FRG

 

繁殖に使用したアーティファクトNFTとムーブストーンは消費されてしまいますが、2体のAlkemonNFTは繁殖可能数が減少するだけで消費されることはありません。また、繁殖に使用した$FRGはロックされており、繁殖によってミントしたAlkemonNFTとともに、一定数歩き、その後AlkemonNFTをバーンすることでロックされていた$FRGを回収することが可能です。

 

$FRGのもう一つの使い道として、アーティファクトNFTのミントがあります。アーティファクトNFTをミントするためには、ワークアウトの目標(習慣化したい内容や期間)をツイートし、$FRGをロックすることでアーティファクトNFTをミントすることができます。

宣言した目標を達成することができれば、ロックした$FRGをすぐに取り戻すことができますが、目標を達成できなければ、ロックした$FRGは一定期間取り戻すことはできません。

 

 

トークン($FRG)の価格を維持、上昇させる施策

AlkemonNFTミント時にロックした$FRGの返還上限

『アルケモン』をプレイして、$FRGを稼ぐためにはAlkemonNFTが必要です。

そして、AlkemonNFTをミントするためには$FRGが必要になります。またミントするのに必要な$FRGの量は「〜米ドル相当の$FRG」というように、ドル建てで価格が設定されているため、$FRGの価格の上限による影響を受けません。ミントに使用した$FRGはロックされており、一定距離を歩き、AlkemonNFTをバーンすることで取り戻すことができます。

 

しかし、$FRGをロック(AlkemonNFTをミント)した時点よりも、ロックを解除する時点で$FRGの価格が上昇していた場合、返還される$FRGには上限があります。返還される$FRGの上限は$FRGの市場価格で計算され、「30日歩いて同額戻ってくる」「365日歩いて2倍戻ってくる」の様に、プレイヤーが各自のスタイルによって選択することができます。

 

元々ロックされていた$FRGの量が返還の上限を超えている場合は、返還した後の残りの$FRGがバーンされる仕組みです。つまり、$FRGはデフレ型のトークンであり、流通量が減っていく仕組みによって価格の上昇が起きやすい設計となっています。

 

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

 

$FRGの半減期

$FRGの供給には半減期が設定されています。半減期の周期は 4〜 12 か月程で検討されているようです。半減期を設定することによって、定期的に$FRGの価格が上昇しやすいタイミングが生まれ、プレイヤーがゲームを継続するモチベーションを上昇させる効果が期待できます。

 

 

NFTの価格を維持、上昇させる施策

ブロックチェーンゲームのトークンエコノミクスの設計において、NFTの価格をコントロールすることは非常に重要です。NFTの価格が下落すれば、NFTの売り圧が強まるとともに、プレイヤーのモチベーションも低下していってしまいます。逆にNFTの価格が高騰しすぎれば、参入のハードルが上がり新規のプレイヤーの流入が減少します。

 

『アルケモン』ではNFTの需要を拡大し、価格を押し上げるためにNFTの多様な使い道と長期保有をすることのインセンティブが用意されています。主な使い道や長期保有のインセンティブとして以下があげられます。

 

  • 一定の距離を歩きバーンすることでロックしていた$FRGを受け取ることができる
  • 一定の距離を歩くことで、レアなアーティファクトNFTを手に入れることができる
  • 他のAlkemonNFTの覚醒や、スキルレべルのアップに使用することができる
  • AlkemonNFTの繁殖の際に親として使用できる
  • AIアートの生成に使用できる Alkemic Spellsを持っている

 

また、新規プレイヤーの参入するハードルが高くならない様に、AlkemonNFTをミントするために必要な$FRGの量を「〜米ドル相当の$FRG」というように、ドル建てで設定することで、NFTを手に入れるためのコストが$FRGの価格の変動に影響を受けにくい設計となっています。

 

 

採用しているブロックチェーン

『アルケモン』はブロックチェーンゲームに特化したブロックチェーンであるOasysチェーン上のレイヤー2ブロックチェーン、HOME Verseが採用される予定です。そのため、AlkemonNFTを公式からの販売で購入できなかった場合、Oasysチェーン上の通貨である$OASを用意して、二次流通で購入する必要があります。

また、所有するAlkemonNFTの売買による収益も$OASで受け取ることになります。

 

Oasysチェーンの最大の特徴はユーザーがガス代を支払わずに取引を行える点にあります。そのため、NFTの売却や購入などの取引をするハードルが他のチェーンを使用するよりも低くなり、より活発な流通が行われることが期待できます。

 

さらに、AlkemonNFTや$FRGの価格等の『アルケモン』のトークンエコノミクスは、HOME VerseやOasysの状況や、$OASの価格等の影響を受ける可能性もあります。例えば、$OASの価格が高騰したり、暴落したりした場合は、実質的にAlkemonNFTの価格も変動してしまいます。

 

※現在販売されている「ALKEMON Genesis Blue」はイーサリアムチェーン上で取引されています。

 

 

運営会社

『アルケモン』を運営するのは、double jump.frog株式会社です。double jump.frog株式会社は、NFT・ブロックチェーンゲーム専業開発会社であるdouble jump.tokyoからも出資を受けています。double jump.tokyoは、『アルケモン』が採用予定のブロックチェーンである、HOME Verseを運営している企業でもあります。

 

 

現在発行済みのNFT

画像引用元:https://opensea.io/collection/alkemon-genesis-blue

 

2023年5月時点で発行されているNFTは「ALKEMON Genesis Blue」のみとなっています。

 

 

発行数

2023年5月時点で「ALKEMON Genesis Blue」の発行数は1,185個です

NFTの販売時の発行上限は1,200個となっていましたが、190個を5個購入した人へ1個プレゼントするという施策のために用意しており、190個全てが配布されなかったため現在の

発行数が1,185個になっていると考えられます。

 

 

直近の取引価格

画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/alkemon-genesis-blue/activity

 

2023年4/24〜5/1までの一週間の販売件数は6件で、平均価格は0.04ETH、日本円で約9,800円です。また、記事執筆時点でのフロアプライスも0.04ETH、日本円で約9,800円です

 

「ALKEMON Genesis Blue」が発売されたのは、2022年12月でした。2023年の2月にはAIアートの生成機能がリリースされ、それに伴って取引量と平均価格も上昇しています。その後は当初2023年3月に予定していたクローズドベータ版のリリースの延期が発表されたこともあってか、取引量と平均価格は落ち込んでいます。

 

 

所有ウォレットの分布

画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/alkemon-genesis-blue/analytics

 

291の保有ウォレットの内、約半数が4-10個のNFTを所有しています。NFTの販売時に5個の購入で、1個プレゼントされるという施策や、NFTの保有数によってDiscord内でのロールが付与されるなどの施策が影響して、複数のNFTを購入する人が多かったと考えられます。

 

 

アルケモンのNFTは購入するべきか

『アルケモン』では3つのGenesisNFTの販売が予定されています。そして、現在はそのうちの1つである「ALKEMON Genesis Blue」のみが流通しており、残りの2つについての発売日については詳細が発表されていません。

 

そのため、今後の2つ(GreenとRed)のコレクションの発売で手に入れる機会が残されています。しかし、前回の販売は0.06ETH〜0.08ETHで販売されましたが、現在のフロアプライスは0.04ETHです。そのため、今のタイミングであれば、今後の公式からの販売よりも安く購入できる可能性があります。さらに、「ALKEMON Genesis Blue」の保有者には、次のNFTのエアドロップが行われる予定です。ゲームのリリースはまだ先になる可能性も高いですが、『アルケモン』に関心のある方は今がチャンスかもしれません。

 

 

この記事を書いた人

EY Strategy and Consulting入社後、グローバル案件を担当する。YouTuberのコスメディレクターや広告運用を経験後、Web3領域でゼロスリー(株)を創業。ソフトバンクアカデミア14期生。

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