VTuber × NFTに挑戦するVhigh!を徹底解説【Web3時代のVTuberプロジェクト】

投稿日:2023年3月13日 | 最終更新日:2023年5月29日

この記事では、VTuberとNFTを掛け合わせた日本発のプロジェクト『Vhigh!』に関する様々な情報を深ぼっていきます。

 

当記事を読めばVhigh!の大枠とその実情が把握可能ですので、ぜひ最後までご覧いただけると幸いです。

 

概要

画像引用元:Vhigh 公式HP

 

Vhigh! とは、株式会社ハイボールのCEOオオタタクヤさんによって立ち上げられたVTuberプロジェクトです。日本発の文化であるVTuber(バーチャルYouTuber)を、ブロックチェーン技術を用いて発展させる試みとなっています。

 

Vhigh!のコンセプトを一言で表現すると、『NFTという技術やDAOというコミュニティ文化を活用することで、既存のVTuber運営事務所の収益構造および演者とファンとの関係性を改革するVTuberプロジェクト』となります。

 

既存のVTuber運営事務所は、運営がVTuber(タレント)たちのマネジメントをトップダウンで行い、全ての意思決定を実行するという座組となっていました。

 

しかしながら、VTuberコンテンツは基本的にタレントとファンとの密なコミュニケーションにより成立するものであり、中央集権的な運営事務所の存在はコンテンツの拡張性を阻害する要因になり得ます。

 

Vhigh! は上記のような構造を壊し、VTuberファンたちによって形成されるコミュニティによって意思決定を行うという思想を掲げています。

 

画像引用元:note – NFTで新しいVTuberの文化へ「Vhigh!」にインタビュー

 

 

全体のプロジェクト設計

Vhigh! のNFTプロジェクトの設計は以下のようになっています。

 

  1. Vhigh! NFTを獲得
  2. Vhigh! に何らかの形で貢献
  3. 貢献度に応じて所有するNFTのレベルを上げていく
  4. Vhigh! における影響度を向上させる➡2に戻る

 

ここで重要となってくる要素が、①進化するNFT、と②コミュニティによるVTuberプロジェクトの運営、です。以下にこの2つの詳細を記述していきます。

 

進化するNFT

Vhigh! NFTの保有者やファン(プロジェクトへの貢献者)は、Vhigh! への貢献度に応じて保有するNFTのレベルを上げていくことが可能です。

 

Vhigh! への貢献を具体的に表すと、二次創作のイラスト制作や楽曲の制作といったクリエイティブな活動になります。

 

このような活動を行うことでNFT保有者は経験値(XP)を獲得し、自身のNFTのレベルを向上させることができます。

 

Vhigh! のNFT(Gen1.0)は、貢献度に応じてNFT自体のデザインが変化する仕様となっており、これがコミュニティからのエンゲージメントを維持する要因になると考えられます。

 

画像引用元:note – NFTで新しいVTuberの文化へ「Vhigh!」にインタビュー

 

コミュニティによるVTuberプロジェクトの運営

Vhigh! ではVhigh! NFTの保有者やファン(プロジェクトへの貢献者)が運営の一部としてプロジェクトに参加できる仕組みを企画しています。

 

その代表例が、2023年1月から2月にかけて開催された第1回VTuberオーディションです。

 

このオーディションは、350人以上のオーディション応募者からVhigh! 運営による審査を突破した6人に対して、さらにNFT保有者による投票活動によって選定するというものでした。(後述)

 

コミュニティによってデビューさせるVTuberを決定するという、既存のVTuber運営事務所のスタイルとは一線を画す方針となっています。

 

 

Vhigh! のプロジェクト展開の流れ

Vhigh! はこれまでGen0.0のリリース、Gen1.0のリリース、そしてオーディションという流れで展開されています。本項目では、その流れの概要を追っていきます。

 

プロジェクトの立ち上げ(Gen0.0)

 

画像引用元:note – 【実験】日本初のVTuberプロダクション× DAO「Vhigh!」を立ち上げました。

 

Vhigh! はNFT関連のハッカソン(ETHGlobalという世界規模のクリプトハッカソン)がきっかけで誕生したプロジェクトです。

 

発起人のオオタタクヤさんがVTuber事務所のDAO的な運用をコンセプトに掲げ、ハッカソンに向けた即席のチームでVTuberチックなイラストとジェネラティブNFTのアイデアを掛け合わせたNFTを製作しました。製作期間はなんと2日。

 

※ジェネラティブNFT … アルゴリズムによってデザインが自動生成されたNFTアート

 

Gen0.0のNFTは全1000体が全て無料で配布され、このNFTの所有者をもってVhigh! コミュニティの礎が形成されていきました。

 

加えて後日、NFT保有者に対して投票権を与える形で1000体のアバターの人気投票を行い、1位に選ばれたアバターをLive2Dモデル化(専用ツールを用いることで絵が動くようになるモデル)すると発表されました。

 

2023年2月時点では、それぞれのアバターが2次流通で取引され、192ETH(約4000万円)を超える累計取引高を記録しています。

 

プロジェクトの本稼働(Gen1.0)

 

画像引用元:Vhigh! 公式Twitter

 

二つ目のNFTコレクションVhigh! Avatar Gen 1.0では、よりクオリティの高いLive2DモデルのNFTを10,000体発行しました。

 

Gen1.0の流通は、販売ではなくWL(ホワイトラベル)所持者に対するフリーミントを行うことで実施されました。ホワイトラベルとはNFTを獲得する権利、フリーミントとはガス代(発行手数料)のみでNFTを獲得することができるNFTの発行手法のことです。

 

Gen 1.0のWLは主にTwitter上のプレゼントキャンペーン(giveaway)にて配布されており、他NFTプロジェクトやクリプト系インフルエンサーとのコラボを通してWLの配布が行われています。

 

Vhigh! のNFTプロジェクトとしての本稼働はGen1.0より行われており、Gen1.0のホルダーに対して前述した貢献度の設計などのテストが行われています。

 

オーディションの実施

 

画像引用元:Vhigh! – Twitter

 

Gen1.0の発行を経て、Vhigh! は第1回VTuberオーディションを実施しました。

 

 

オーディションの概要はコチラのページにまとまっています。

 

候補者の募集は公開、非公開の両方で行われました。

 

非公開オーディションはVhigh! 運営による審査によってのみVTuberとしてデビューできるかどうかが決定しますが、一方で公開オーディションはVhigh! 運営による審査を経た後にGen 1.0 のNFT保有者による投票によってデビューの可否が決定するというシステムになっています。

 

公開オーディションへの応募者数は350人を超え、その中から運営の審査を通った6人の最終候補者が選定されました。

 

画像引用元:Vhigh! – オーディション概要

 

この6人の候補者のデビューの可否が、コミュニティーによるオーディションへの介入(つまりNFT保有者による投票活動)によって決定されます。

 

6人の自己紹介動画は、第一回オーディション用のYouTubeチャンネルにて閲覧することが可能となっています。

 

途中、No.2、No.5、No.6の候補者が辞退し3人になりましたが、残る3人は各々のTwitterにて情報発信を行っていくことで票の獲得活動を継続しました。

 

NFT保有者の投票期間は2023年1月29日〜2月7日と定められ、2023年2月8日の21:00にNo.1とNo.4の候補者がデビューすることが発表されました。

 

 

 

広報の仕方とそのインパクト

Vhigh! は、主にTwitterを通して日本および英語圏に向けてマーケティングを行っています。

 

2023年2月時点でのフォロワーは、英語アカウントが19200人、日本語アカウントが138人となっています。

 

加えて、Discord上にて中国語や韓国語のテキストチャンネルも作成しています。

 

しかしながら、2023年2月時点の実情としては日本語コミュニティの方が活発であり、他の言語圏のメンバーは比較的少数となっています。

 

フォロワーの多い英語アカウントの方で日本語アカウントの情報を拡散したりしているため、広報戦略としてひとまずは日本のNFTコミュニティやVTuberファンでの認知拡大を図り、ある程度成熟した後に改めてグローバル展開を進めていくことが予想されます。

 

プロジェクト最初期

立ち上げ当初は公式Twitterなどは存在せず、CEOのオオタタクヤ氏個人のTwitterアカウントでリリース報告が行われています。

 

 

その後、Gen0.0のアバター人気投票の際には公式Twitterの方からハイクオリティな動画とともに宣伝が行われました。

 

 

Gen1.0のミント期間

Gen1.0のNFTは、WL(ホワイトラベル)を所有するユーザーに対してフリーミントできるというシステムであることは前述いたしました。

 

この期間では、他のNFTプロジェクト、およびクリプト系インフルエンサーと協力してWLの配布を行っております。

 

※NFT自体、またはNFTを獲得する(ミントする)権利をSNSなどを用いて配布する手法のことを『giveaway(ギブアウェイ)』と呼びます。

 

Gen1.0では、このgiveaway戦略を通してVhigh! の認知拡大を図っていると考えられます。

 

Twitter上でも非常に強いエンゲージメントを発揮しており、2023年2月時点では

 

  • 公式英語アカウントでのgiveawayツイート:いいね1186、RT 1264(当該ツイート
  • オーディション開始記念でのgiveawayツイート:いいね1016、RT 1101(当該ツイート
  • NFTプロジェクト『Leo Studio』とのコラボgiveawayツイート:いいね1749、RT 1810(当該ツイート

 

が特に拡散されたツイートとして挙げられます。

 

giveawayでは参加条件として公式アカウントのフォローと当該ツイートの拡散(いいね及びRT)を義務付けられているため、これらの施策を通してVhigh! 公式の英語アカウントのフォロワーの増加を成功させています。

 

加えて、以下に2023年2月時点でいいねが100以上付いているVhigh! 関連のgiveawayツイートをまとめました。参考にご覧いただけますと幸いです。

 

画像引用元:筆者作成

 

上記表から得られるインサイトとしては、主に2つ挙げられると思います。

 

1つが、個人インフルエンサーとのコラボgiveawayでは、そのインフルエンサーのフォロワー数に応じてWL数を調整していると考えられること。

 

もう1つが、giveaway戦略の流れです。7月に集中して個人インフルエンサーを介したgiveawayを実施しており、それを通して公式アカウントのフォロワーを獲得しています。獲得したフォロワーに対して公式アカウントからgiveaway情報を流すことで、マーケティングコストの削減を実現していると考えられます。10月には知名度の高いNFTプロジェクトとのコラボを実施し、権威性のアピールを図っていると考えられます。

 

オーディション中

オーディション期間中は、各候補者の配信の宣伝、TikTokの拡散などを行っています。

 

また、オーディションの投票期間中(2023年1月29日〜2月7日)には多くのイベントを企画し、コミュニティからの関心を途切れさせないようにしています。

 

利用しているSNS

コミュニティ形成に利用されているSNSとしては以下の2つが挙げられます。(数値は2023年2月時点)

 

  • Discord(メンバー 約3000人)
  • Twitter(フォロワー 約19200人)
  • Podcast(Discord内のAMAを録音し配信)
  • YouTube(オーディションに際しての動画コンテンツの発信)
  • TikTok(オーディション候補者の配信用)

 

また、オーディション終了後の本格的な配信活動を行っていくに当たっては、Twitchという動画配信プラットフォームを活用していくと示しています。

 

TwitchとはAmazonが提供している動画配信用プラットフォームであり、海外の著名な配信者が使用していることが多いです。Twitchの月間利用者は世界中に1億人以上存在しているため、英語圏に対してリーチしたい配信者が使用するにはうってつけの選択です。

 

Vhigh! 共同創業者の岩永氏は、グローバル展開を見据えているVhigh! であればTwitchに親和性がある、と述べています。

 

 

運営体制

会社情報

Vhigh! はシンガポールに本社を置くHIGHBALL PTE. LTD.によって運営されています。

会社としての情報発信媒体としては、プレスリリースをPRTIMES、求人や採用マーケティングをWantedlyを用いて行っています。

 

チームメンバー

2023年2月時点では、CEOのオオタタクヤさんを中心に以下のメンバーと共にプロジェクト運営に当たっています。

 

 

画像引用元:Vhigh – TEAM MEMBER

 

特に共同創業者の岩永氏は、VTuber業界における知見と実績が豊富な方です。岩永氏はVhigh!参画までに、日本の大手VTuber事務所『にじさんじ』を運営するANYCOLOR株式会社の立ち上げや運営、アメリカのVTuber事務所『VShojo』の戦略アドバイザー等を務めています。

 

ちなみに、ANYCOLOR株式会社は2022年6月8日に東京証券取引所グロース市場に上場しています。

 

 

オンチェーン情報

この項目では、Vhigh! のGen1.0に関するブロックチェーン上のデータ(オンチェーン情報)を観察していきます。

 

オンチェーン情報は当該NFTプロジェクトの実情を、データに基づいて把握する一助となります。

 

なお、以下のデータはVhigh! Avatar Gen 1.0のコントラクトアドレス(0x2B709bde12CE759A1a5AF45cD9bcc27cb05a6E14)を参照して作成されていること、および算出されている数値はウォレット数である点をご了承ください。

 

NFTを保有しているウォレット数の推移

以下のグラフは、Vhigh! Gen1.0のNFTを1つ以上保有しているウォレットの数を時系列で観察したものになります。2023年2月7日では565個となっています。

 

2022年の年末からNFT保有者が発生しはじめ、2023年2月にかけて微量な変動が起こっています。

 

この変動の発生は、主に2次流通市場(OpenSea)での取引が原因だと考えられます。

 

 

Gen1.0の発行済みのNFTの数

2023年2月時点でGen1.0の発行済み(ブロックチェーン上に情報が乗っている)NFTの数は2,356個となっています。

 

発行予定数は10,000個となっているので、2023年2月時点では全発行枚数の4分の1程度が発行済みであると分かります。

 

 

トップ10人のNFT保有数

以下の表は、Gen1.0のNFTの所有数が多いウォレットを最大値から10個並べたものです。

 

最も保有数の多いウォレットでは995個所有しており、全10000体の内の約1割が1つのウォレットに保有されていることになっています。

 

ただし、このウォレットアドレスはVhigh! 運営のものであるため、NFT保有の独占度(または寡占度)という観点からは問題ないと考えられます。

 

 

時系列で見た保有数の分布

以下のグラフは、保有数の割合分布を時系列で観察したものです。

 

Gen 1.0のNFTを1つのみ所有しているウォレットの割合が時間経過と共に減少し、2個所有しているウォレットの割合が顕著に増加していることが理解できます。

 

2023年2月時点では、1つのみ保有しているウォレットが7割弱、2つ保有しているウォレットが約15%となっています。

 

 

 

マネタイズ

Vhigh! のマネタイズ方法は、現段階では明らかになっていません。

 

その理由としては、既存のVTuber運営事務所の収益部分を100%タレントに還元することを明確化していることが挙げられます。

 

以下の画像は1stオーディションの際に提示された応募条件となっております。契約条件の部分を見ると、『各プラットフォーム収益100%バック』と記載があるかと思います。

 

画像引用元:Vhigh – オーディション概要

 

既存のVTuber事務所の収益は、所属タレントの配信動画の広告収益やスーパーチャット(投げ銭)の何割かを手数料として徴収することで生み出されています。(グッズやイベント等による収益がある場合は、その限りではありません)

 

そのため、プラットフォーム収益(YouTube等から得られる広告収益)を100%還元するということは、運営側の収益を0%にしているのと同義です。

 

事実として、大手VTuber事務所『にじさんじ』を運営しているANYCOLOR株式会社のカテゴリ別の売上高を見てみるとプラットフォーム収益(以下図では赤色で示されているライブストリーミングの部分)の割合が少なくないことが理解できます。

 

ある程度成長した後の収益は多角化できているものの、やはりプロジェクト初期の収益源としてはプラットフォーム収益の割合が大きいことが見て取れます。

 

画像引用元:ANYCOLOR株式会社 – 2022年4月期 通期決算説明資料

 

上記の事情を勘案すると、マネタイズという側面のみから観察したVhigh! は持続可能なシステムになっているとは言い難いです。

 

しかしながら、もともとVhigh! は、中央集権的なVTuber運営事務所を取り除かれた上でコミュニティの力によって成り立たせることが可能なVTuberプロジェクト、をコンセプトに掲げています。

 

このコンセプトに則ればVhigh! 運営が収益を取らない選択をすることは自然です。

 

Vhigh! は将来的にガバナンストークン(厳密ではありませんが、Web3プロジェクトにおける株式のようなイメージ)を発行することを示唆しており、マネタイズとして考えられるとすればそのトークンの売却益などでしょう。

 

 

将来性

この記事では、Vhigh! の概要、設計などを中心に解説してきました。

 

思想、運営体制からオンチェーン情報を踏まえた現状まで、Vhigh! の大枠をご理解いただけたかと思います。

 

初期の段階から格段に規模が大きくなったVhigh! ではありますが、実際問題VTuberは配信が面白いかどうかが重要となってきます。

 

にじさんじやホロライブといった大手VTuber事務所のタレントが競合する中、コンテンツという側面でどのように差別化を行っていくのかは注視すべき点だと考えます。

 

Web3時代のVTuberプロジェクトがどのような展開を見せるのか、Vhigh! から次世代のスターが排出されることを祈りつつ今後の動向にも目を光らせていきたいと思います👀

 

 

 

参考文献

この記事を書いた人

EY Strategy and Consulting入社後、グローバル案件を担当する。YouTuberのコスメディレクターや広告運用を経験後、Web3領域でゼロスリー(株)を創業。ソフトバンクアカデミア14期生。

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