この記事では世界的に有名な高級自動車ブランド｢ポルシェ｣が進行しているNFTプロジェクトの詳細と、2023年2月時点での進捗状況について解説していきます。
概要
画像引用元：https://nft.porsche.com/
世界的に有名なドイツの自動車会社であり、ブランドでもあるポルシェがNFTに参入しました。
自動車会社のパイオニアとして、クリエイターやファン、投資家と共創する新しいコミュニティを構築するプロジェクトとなっています。
ポルシェは2022年11月29日にNFTコレクションを展開して仮想世界に参入し、NFTコレクションを販売することを発表しました。
ポルシェのNFTコレクションを手がけるデザイナーは、3DアーティストのPatrick Vogel氏です。
伝説の名車｢911｣にインスパイアされた7,500個のNFTコレクションが展開されると発表され、多くのユーザーに注目されるプロジェクトとなりました。
全体のプロジェクト進行
2023年1月23日にNFTコレクションが展開されました。
NFTを所有することで、自分の好みに合わせたカスタマイズができます。
具体的にパフォーマンス、ヘリテージ、ライフスタイルという3つのテーマから選択し、デザイナーが数ヶ月間かけて理想のアート作品にする仕組みです。
パフォーマンス
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ル・マンやダカールのレース体験にインスパイアされた、純粋なパフォーマンスとアドレナリンによって動かされる世界。
ヘリテージ
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魅力的なディティール、手付かずの素材、大胆なデザインステートメントに満ちた、ポルシェの象徴的な過去への道。
ライフスタイル
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壮大な自然と息を飲むような芸術から華やかなナイトクラブまで、喜暇に満ちた旅。
また、ポルシェのdiscordによって新たなコミュニティを構築しています。
コミュニティでは、物理的およびデジタルでのイベントによって繋がることができ、ポルシェの未来を共に創造しています。
現状
伝説の名車｢911｣を元にしたNFTであるため、価格は0.911ETH(約19万円)で一次販売を行いましたが、予定よりも売上の滑り出しが悪い状態でした。
ポルシェはその状態を察知し、2023年1月25日を最後にNFTの発行を停止させました。
画像引用元：https://dune.com/Eclipse/por
7,500枚のNFTを準備していましたが、発行を停止したことにより、最終的に発行された枚数は2023年2月の時点では2,363枚となりました。
NFTの売れ行きが良くないことを知ったポルシェNFTの所有者は、将来性がないと判断し、一時はフロア価格が0.85ETHになりました。
この時、EUではオンライン上で購入したものは、14日以内であれば返金が可能で、返金ポリシーに関する言及が事前にない場合は12ヶ月以内であれば返金が可能になるという声がポルシェNFTに挙げられました。
実際NFTにもその返金のポリシーが適用されるかどうかは明確ではありませんが、ポルシェは事前に「返金を要求しない」という規約にチェックする工程を挟んでいたことから問題にはなりませんでした。
しかし、突然発行を停止する発表をしたことにより、需要が供給を上回り、2023年2月現在のフロア価格は2.1ETHと回復しています。
広報の仕方とそのインパクト
画像引用元：https://twitter.com/eth_porsche
ポルシェは、NFT専用の公式Twitterを作り、現在2023年2月のフォロワーは4.7万人です。
discordも存在しており、Twitterもdiscordの名前もPORSCHΞという名称にしています。
マーケティングは、既存のファン層ではなく、Web3の業界にいるEthereum上のユーザーを意識しています。
また、ポルシェは高級ブランドであるため、NFTの価値にも配慮する必要があり、7,500枚の発行でも0.911という比較的高値で販売したと考えられます。
さらに、ミント割れしたことはポルシェにとってはブランドの価値にも響く非常に悪い状況であったため、発行を取りやめ、需要と供給のバランスを整える必要があったと考えられます。
運営体制
本プロジェクトの運営体制の全体像は明らかにされていません。
ポルシェNFTのデザインは、ドイツのハンブルグを拠点とするデザイナー兼3DアーティストPatrik Vogelが手がけています。
ポルシェの執行役員会副会長兼執行役員会財務のLutz Meschke、セールス＆マーケティング部員の代表Detlev von Platenも運営に参加しています。
画像引用元：https://nft.porsche.com
他にも、コミュニティのメンバーには、スコットランド在住のアーティスト兼デザイナーのChris Labrooyや、ストリートアーティストとして有名なVEXXが参加しています。
マネタイズ
ポルシェは、新たな体験を実現するためにコミュニティと繋がり、共創する場をWeb3ツールを用いて提供することを宣言しています。
つまり、今回のNFTコレクションは、ブランドIPを活用したNFT収益を目的とするものではなく、コミュニティをつくるための｢メンバーシップトークン｣としての価値を作ることを目的としています。
画像引用元：https://opensea.io/collection/porsche-911
2023年2月時点で、総取引額が5,342ETHを記録していますが、Creator earningsは0%。つまり二次流通の際に得られる収益が10%に設定できるところを0%にしています。
このプロジェクトではマネタイズではなく、コミュニティを作ることを目的としていることが分かります。
将来性
この記事では、ポルシェNFTの詳細と現状について解説しました。
プロジェクトの展開当初はミント割れなどの問題が起きましたが、現在は回復しつつあります。
ポルシェNFTには批判などの声があげられることもありますが、失敗してもう終わったプロジェクトとして捉えるのはまだ早いと考えます。
2023年2月を目処にポルシェNFTのカスタマイズが可能になることを発表し、実験的にまだまだこのプロジェクトは動き続けると考えられます。
世界的に有名なポルシェのweb3参入が、ほかの有名なブランドや企業にとっても重要なひとつの事例となり、今後の動きにも注目されるでしょう。
