Symbiogenesisの概要
『Symbiogenesis』は、日本を代表するゲーム開発会社のSQUARE ENIXが運営するNFTプロジェクトです。10000点のNFTにゲームを楽しむことができるというユーティリティを付与したプロジェクトになっており、NFTを所有することで、ストーリー解放型のゲームを楽しむことができます。
また、それぞれのNFTを所有することで得られる情報があり、ゲーム内のクエストの進行に役立ちます。ゲームの最後のミッションとなる「ワールドミッション」には世界で3人のみが挑戦できるため、NFTを所有することで得られる情報や、ゲームを進行する上で手に入れた知見を誰かと共有し、協力してゲームを進めるのか、誰にも共有せずに1人でゲームを進めるのかといった情報戦が繰り広げられることが予想できます。この様に『Symbiogenesis』は「独占か分配か」というテーマを基にゲームが設計されています。
2023年3月に、ティザーサイトやDiscordが公開されて以降、NFTコレクションやゲームの公開に向けてプロジェクトが進行しています。2023年5月時点までに、ゲームをプレイする際に有利になるメンバーズカードNFTを入手できるトレジャーハントキャンペーンや、クイズキャンペーン、Discord、TwitterでのAMAや情報発信が行われています。
発行予定のNFTの種類と役割
キャラクターNFT
画像引用元:https://twitter.com/symbiogenesisPR/status/1605760285628841987
キャラクターNFTは、『Symbiogenesis』の中心となる10,000点のNFTコレクティブルアートです。全六章のストーリーの公開に合わせて段階的にリリースされます。それぞれのキャラクターは種族や職業などを持っており、NFTはPFPとしても使用することができます。
キャラクターNFTは4つの種類があり、それぞれの種類に応じてNFTの所有者のみが読むことのできるストーリーや情報を持っています。また、キャラクターNFTの所有者はキャラクターレプリカというNFTを発行することができ、レプリカの所有者も同じストーリーや情報を閲覧することができます。
また、キャラクターNFTを所有することによって、メンバーランク経験値と呼ばれるゲーム内のランキングでの順位を左右するポイントや、スロット解放ポイントと呼ばれるキャラクターが持つストーリーを解放するためのポイントが付与され、ゲームを有利に進めることが可能です。
メンバーカードNFT
画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/symbiogenesis-member-card/analytics
メンバーカードNFTは、ゲーム内ではなく、コミュニティやキャンペーン内で配布されるNFTです。メンバーカードNFTを所有していることで、メンバーランク経験値を手に入れることができます。メンバーカードNFTには種類には、ゴールドやグリーンといった種類があります。
ゲーム内アイテム
画像引用元:https://ja.docs.symbiogenesis.app/docs/quests-and-items
『Symbiogenesis』のクエストは、キャラクターNFTを所有することで読むことができる情報をもとに、アイテムを探しだすことによってクリアとなります。ゲーム内で入手することができるアイテムは、見つからない場合は他のプレイヤーから購入することも可能であり、また自分の所有するアイテムを販売することも可能です。
NFTの売り圧を抑える仕組み
『Symbiogenesis』はプロジェクトの価値を維持し、高めていくためにキャラクターNFTの売り圧を抑える仕組みを構築しています。
画像引用元: SYMBIOGENESIS_JA_20230309.pdf
まず、キャラクターNFTはゲームを楽しみたいプレイヤー、3枠のWorld Missonへの参加を目指すプレイヤー、ゲームによる収益を狙うプレイヤー全てのプレイヤ―にとって所有するメリットがあるように設計されています。それぞれのユーザーがキャラクターNFTの所有によって得られるメリットとして、情報の獲得や、メンバーランク経験値の獲得、レプリカをはじめとした新たなNFTを獲得する機会などがあります。
そして、キャラクターNFTのリリースを各章ごとに分け、メンバーランク上位のプレイヤーには次章のキャラクターのNFTのALが与えられます。これによって、キャラクターNFTを長期的に保有するインセンティブが生まれます。
キャラクターNFTの発行数は10,000点に限られているため、キャラクターNFTを所有せずにゲームをプレイするユーザーも多く生まれると予想されます。Free to Playスタイルのユーザーが多く存在することで、新たなユーザーも参加しやすい設計になっており、NFTの数は限られている一方で、ユーザーは増加していくことでNFTの価格の上昇を図っています。
現在発行済みのメンバーカードNFTの分析
画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/symbiogenesis-member-card/analytics
2023年5月時点で発行、配布されているNFTはメンバーカードNFTのみとなっています。
発行数
2023年5月時点でのメンバーカードNFTの発行数は30,000個です。29,970個がGreen、30個がGoldのNFTとなっています。
直近の取引数と価格
画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/symbiogenesis-member-card/activity
2023年4/24〜5/1までの一週間の販売件数は576件で、平均価格は0.0044ETH、日本円で約1100円です。また、記事執筆時点でのフロアプライスは1MATIC、日本円で約130円です。
これらのメンバーカードNFTはトレジャーハンティングキャンペーンというキャンペーンによって配布されました。最初のトレジャーハンティングキャンペーンが実施されたのは2023年3月17日に開始されましたが、数時間で配布上限の30,000個の配布が終了してしまいました。これに加えてリリース直後ということもあり、3/20までの取引件数は約6,500件にのぼり、結果として取引ボリュームも約23.5ETH(画像内棒グラフ)を記録しています。
その後トレジャーハンティングキャンペーンは、再開が予定されているものの延期を重ねており、記事執筆時点では再開の日時は発表されていません。
所有ウォレットの分布
画像引用元:https://opensea.io/ja/collection/symbiogenesis-member-card/analytics
30,000点のNFTの分布については、ホルダーの95%が1個のみの所有になっています。これは、メンバーズカードNFTによって得られるゲーム内での効果は、現在配布されているGreenのNFTの場合、複数所持していても1個分の効果しか受け取れないという設計が影響していると考えられます。
一方で重複して効果を受けることができるGoldのメンバーカードのみでの集計では、全てのホルダーが1点づつの所有になっています。この理由としては、Goldのメンバーカードは、2023年5月時点でフロアプライスが0.99ETHでGreenに比べて遥かに高値で取引されているためであると考えられます。現段階では多くのユーザーがプロジェクトの様子を伺っている状況なのではないでしょうか。
SymbiogenesisのNFTは購入するべきか?
『Symbiogenesis』から現在リリースされているNFTはメンバーカードNFTのみです。結論としては、現時点でこれらのNFTを購入する必要性は低いのではないかと考えられます。
その理由としては、まずメンバーカードNFTが『Symbiogenesis』内において、どれ程重要になるかが不明な点が挙げられます。『Symbiogenesis』のメインとなるNFTはキャラクターNFTであり、メンバーカードNFTはコミュニティやキャンペーンの特典として配布されるものです。メンバーカードNFTの所有によってどれほどゲームの進行に影響があるのかが具体的に分かっていない点も購入を後押ししきれない要因となっています。
そして、一番の理由としてはトレジャーハンティングキャンペーンの再開が予定されていることが挙げられます。トレジャーハンティングキャンペーンに参加すればだれでも無料でNFTを手に入れることができる可能性があります。記事執筆時点では詳細な日程について公表されていませんが、次回の実施については、前回の反省を踏まえ、クリック数の制限や、配布数の追加、配布タイミングの分割など、多くのユーザーが参加できるよう改善がされます。そのため、NFTを購入するタイミングはトレジャーハンティングキャンペーンが終了してからでも遅くはないのでしょうか。
また、今後詳細が発表されるキャラクターNFTに関しては第一章で500体のリリースが予定されています。クエストを進めるのが有利になったり、他のNFTを入手できる機会が得られたりと、『Symbiogenesis』をプレイするうえでキャラクターNFTの有無は非常に大きな影響を与えると考えられます。無料とはいえ、30,000個のNFTの配布が数時間で終了していることを考えると、500体のNFTを公式からのリリースで手に入れる難易度は非常に高いことが予想されます。