Move to Play×AIアートの注目ゲームタイトル『アルケモン』を徹底解説

投稿日:2023年3月27日 | 最終更新日:2023年5月29日

概要

『アルケモン』は、STEPNに代表されるような現実で歩くことによってプレイするMove to playの要素に、画像生成AIによるアートを組み合わせたゲームです。STEPNなどのMove to Earnのゲームと異なり、ゲームによって利益を出すことではなくゲームによって健康的なワークアウトの習慣を身に着けることを目的としています。

 

「Alkemon」と呼ばれるモンスターと一緒に歩くことによってサイコロを回し、すごろくを進めます。特定のマスに止まると、手持ちの「Alkemon」が敵を攻撃する仕組みで、すごろくをすすめながら敵を倒すゲームです。

 

また、「Alkemon」のNFTを使ってAIアートを作成することができる点も注目されており、ブロックチェーンゲームに話題のAI技術を組み合わせた斬新なゲームとなっています。

 

※本記事では『アルケモン』「Alkemon」の表記を以下のように使い分けて解説します。

  • 『アルケモン』:ゲームタイトル、ゲーム全体を指す。
  • 「Alkemon」:ゲーム『アルケモン』内に登場する、NFTのモンスター

 

 

設計

『アルケモン』のゲームやトークンの設計を解説していきます。

 

ゲームの遊び方

『アルケモン』は2023年中のリリースを予定しており、2023年3月時点ではゲームをプレイすることはできません。しかし、2023年1月に『アルケモン』最初のNFTである「ALKEMON Genesis Blue」の所有者向けに、AIアートを生成するためのサイト「ALKEMON LAB」がオープンしており、AIアートの生成機能のみ先行してリリースされているようです。

 

 

ゲームの中心となるNFT「Alkemon」

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

「Alkemon」は、ユーザーと一緒に歩いてくれるパートナーとなる、フラスコに入った生き物のドット絵のNFTです。最大5体の「Alkemon」でデッキを構築して歩き、敵を倒します。また、「Alkemon」はレベルや覚醒、スキルなどの要素を持っており、育成することでより強力になります。

 

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

さらに、「Alkemon」には赤、青、緑の三種類があり、それぞれの色ごとに有利、不利な色を持っています。色ごとの有利、不利の関係によって「Alkemon」が敵に与えるダメージが変動します。

 

「Alkemon」を入手する方法には、公式からの販売や二次流通で購入する他に、既に所有している「Alkemon」から繁殖させる方法があります。2匹の「Alkemon」を親にすることで新たな「Alkemon」を得ることができ、子は親の特徴を引き継ぐため、オリジナルの個体を生み出すことができます。

 

歩いて進めるすごろく形式のゲーム

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

「Alkemon」はすごろくの様なマスを進みながら敵を倒すゲームです。歩いて獲得したエナジーを使ってサイコロを振ります。そして、とまったマスと同じ色の「Alkemon」が敵を攻撃します。

 

2分間歩くことで、エナジーを1獲得することができるようです。エナジーの最大保有量と一日の獲得上限は、所有する「Alkemon」の数とレア度によって変動します。エナジーの獲得上限は30に設定される予定のため、一日1時間歩くことで最大量を獲得できる計算です。

 

 

ワークアウト習慣化のための宣言とアーティファクト

健康的なワークアウトの習慣を楽しく身に着けることを目的とした『アルケモン』では、自分で目標を設定し、Twitterで投稿することで、より習慣を続けやすくする仕組みがあります。

 

独自トークン$FRG(本記事内にて後述)をロックして、目標を設定し、Twitterで投稿するとアーティファクトというNFTを入手することができます。アーティファクトはユーザーが装備するNFTで「Alkemon」のパラメーターを上昇させる効果があります。

 

設定した目標を達成できた場合はNFTは強化され、ロックしていた$FRGが返還されます。一方で、設定した目標を達成できなかった場合はNFTが弱体化し、ロックしていた$FRGはさらに一定期間ロックされます。

 

 

AIアートの生成

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

「Alkemon」のNFTは、「Alkemic Spells」と呼ばれる呪文を複数持っています。また、ゲーム内では様々な方法で「Alkemic Spells」を入手することができます。「Alkemic Spells」はオフチェーンで記録され、同じものを何度も使用することができます。

 

「Alkemic Spells」はAIアートの作成の際に使用することができる呪文です呪文の組み合わせによってAIが生成するアートが大きく変わっていくため、お気に入りの画像を生成することができるかというところにもゲーム性があります。

 

画像引用元:https://opensea.io/assets/ethereum/0x189e55123c56c841a0b00c2609a11931c6978487/74

 

AIアートは「Alkemon」のNFTの背景画像として設定することができる他、コンテストに参加して選ばれれば新たな「Alkemon」としてゲームに登場する事が可能です。

 

 

ゲーム内のポイントとトークン

『アルケモン』では、ソーシャルゲームの課金要素の様な立ち位置の「ムーブストーン」と独自トークンの$FRGが存在します。

「ムーブストーン」は仮想通貨不要で課金して購入するか、歩いた時間に応じて入手することができ、「Alkemon」のミントやお世話に利用できます。

 

$FRGは歩いて、敵に与えたダメージに応じて入手できます。「Alkemon」のミントにはムーブストーンに加えて、$100分の$FRGも必要になります。

 

 

採用しているブロックチェーン

『アルケモン』では、ゲームに特化したブロックチェーンOasys」上のレイヤー2ブロックチェーンであるHOME Verseが採用されるようです。これにより、ガス代不要で高速な処理を実現することができ、運営もユーザーもゲーム内でより簡単にNFTを使用することができます。

 

また、2022年12月に『アルケモン』が発売したNFT「ALKEMON Genesis Blue」はイーサリアムチェーン上で販売されています。この理由を運営はETHの保有者が多いためとしています。それに加えてOasysチェーンはイーサリアムチェーンとのブリッジを構想しているため、将来的には全てのNFTをOasysチェーンに移行するのではないかと推察されます。

 

※レイヤー2ブロックチェーン:ブロックチェーンのガス代の高騰や処理の遅延などの問題を解決するために、処理の一部を行うオフチェーンのこと。

※ブリッジ:NFTやFTを異なるブロックチェーンに移動させること。

 

 

トークンエコノミクス

$FRG は主に「Alkemon」のミントに使用されます。「Alkemon」のミントに使用された $FRGはロックされており、ユーザーは一定数歩くことで「Alkemon」のNFTを焼却(バーン)してロックされている$FRGの返還を受けることができます。

 

また、ロックしたタイミングより、焼却(バーン)したタイミングの$FRGの価格が高騰していても獲得できる$FRGの最大量が規定されているため、規定量をこえた$FRGは焼却(バーン)されます。

 

画像引用元:https://medium.com/@alkemon/lock-habituation-tokenomics-behind-alkemon-17c49062976

 

さらに、$FRGは半減期が設定されており、供給量を減らすことで$FRGの価値を押し上げると同時にユーザーのモチベーションを向上させる効果が期待できます。

これらの仕組みにより、NFTと$FRGの両方の流通量を減らすことができます。また、NFTと$FRGの需要を交互に生み出し、トークンが循環するように設計されています。

 

トークンエコノミクスの設計や他ブロックチェーンゲームとの比較を知りたい場合は、コチラの記事をご覧ください。

 

 

コミュニティの運営方法

『アルケモン』ではコミュニティの運営をDiscord、広報活動を主にTwitter(2023年3月時点でのフォロワー約5,400人)で行っています。Discordは、OASIS JAPAN FUN COMMUNITYのサーバー(2023年3月時点での参加者約5,000人)内の一つのチャンネルとして運営されており、OASYSチェーンとの結びつきが強いことが読み取れます。

 

本メディアでは、具体的なコミュニティ運営や広報活動の手法なども解説しています。

本内容について詳細を知りたい方に関しては、コチラの記事を参照していただければ幸いです。

 

 

運営体制

 

開発・運営チーム

『アルケモン』はdouble jump.frog株式会社によって開発が行われており、ScopeNextや、double jump.tokyoといった企業から出資を受けています。また、『アルケモン』は、2022年9月に開催されたWeb3 Game Pitch Contestにおいて、一位を獲得したプロジェクトでもあります。

 

ゲームのアンバサダーやアドバイザーには、tofuNFT VP of Productの「みにこーへい氏」を始め、ブロックチェーンゲーマーやNFTゲームのギルドオーナーなどが参画しています。

 

 

運営期間

2022年6月からTwitterでの発信や広報活動を開始しており、2023年3月時点で運営期間は8ヶ月となっています。

 

2022年6月からの情報発信、コミュニティ形成を経て、2022年12月にはNFTの発売、2023年1月にはNFTホルダー向けのAIアート生成サイトの立ち上げを行っています。

 

 

マネタイズ

『アルケモン』のマネタイズポイントとしては、NFTの売上と二次流通の手数料、ムーブストーンの売上の3つが考えられます。その中でも、ムーブストーンの売上は継続的な収益が見込めるポイントであると考えられます。ユーザーが$FRGを効率的稼ぐためには「Alkemon」を焼却したり、別の「Alkemon」の強化のために「Alkemon」を使用する必要があります。そのため、絶えず次の「Alkemon」を手に入れる必要がありますが、「Alkemon」のNFTを繁殖させるためにはムーブストーンが必要です。そして、「Alkemon」の繁殖に必要なムーブストーンの量はNFTの発行数の増加に伴って、増えていくため、ムーブストーンの需要は拡大していくと考えられます。また、課金によって手に入れたムーブストーンには、歩いて手に入れたものには無い特典を付与することも検討されているようです。

 

 

将来性

『アルケモン』は記事執筆時点で開発中のゲームであるため、将来性を判断することは難しいです。しかし、Play to Earnゲームは様々な問題が指摘されながらも、非常に注目されている分野です。また、ゲームによって日常生活を変容させる効果が期待できるMove to playのゲームは人々の生活に大きな影響を与えるかもしれません。

 

そして、『アルケモン』はOasysチェーンを使用しており、ゲームに特化したOasysチェーンがブロックチェーンゲームに与える影響についても注目が集まっています。これらの点から、『アルケモン』は今後注目のタイトルといえるでしょう。

この記事を書いた人

EY Strategy and Consulting入社後、グローバル案件を担当する。YouTuberのコスメディレクターや広告運用を経験後、Web3領域でゼロスリー(株)を創業。ソフトバンクアカデミア14期生。

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