注目のメタバースプラットフォーム『Decentraland』を徹底解説

投稿日:2023年3月23日 | 最終更新日:2023年5月29日

概要

 

『Decentraland』は、世界で注目を集めているメタバースプラットフォームのうちの一つです。

 

バーチャル空間を冒険したり、他のユーザーと交流したり、土地を購入して建物やアイテムなどのオリジナルコンテンツを制作したりと幅広い楽しみ方があります。

 

また、『Decentraland』はDAO(分散型自立組織)という形で運営されており、ゲーム内の土地などのトークンを所有する人々が参加できるコミュニティによって意思決定が行われています

 

 

設計

『Decentraland』のゲームやトークンの設計を解説していきます。

 

ゲームの遊び方

『Decentraland』はChrome、又はFirefoxのブラウザを使用してPCからプレイすることができ、NFTの購入などの費用をかけなくてもバーチャル空間にアクセスすることが可能です。ゲームへのリンク

 

また、メタマスクなどのウォレットによってアカウントを作成できます。

 

ブラウザから登録不要で、試しにバーチャル空間を訪れることができるゲスト版も提供されているので、誰でも手軽にメタバースを体験することができます。

 

採用しているブロックチェーン

『Decentraland』では、イーサリアムチェーンが採用されています。また、一部のWearable NFT(アバターの着せ替えアイテム)については、ポリゴンチェーンで提供されているようです。

 

『Decentraland』では、メタバース空間上でクリエイターが制作したコンテンツを通して、自由にマネタイズできる世界線を目指しています。そのため、スマートコントラクトを実行することができるイーサリアムチェーンが採用されているのではないでしょうか。また、『Decentraland』が一般に公開された2020年には、現在程ブロックチェーンを使用する人口も多くなく、ガス代や処理速度といったスケーラビリティの問題が小さかったことや、現在ほど多様なチェーンが存在しなかったことも、イーサリアムチェーンが採用されている理由ではないかと考えられます。

 

その後、ポリゴンチェーンの登場や、イーサリアムチェーンのガス代の高騰を受け、よりライトなユーザー向けに販売されている一部のWearable NFTがポリゴンチェーンで扱われるようになったと考察できます。

 

「LAND」と「MANA」2つのトークン

『Decentraland』の主要なトークンとして、「LAND」「MANA」の2つのトークンが挙げられます。

 

「LAND」は『Decentraland』の根幹をなすNFTで、土地の1つ1つの区画を指します。ユーザーは「LAND」を購入して、静的な3Dの制作物からゲームなどのインタラクティブなシステムまで幅広いコンテンツを制作することができます。また「LAND」は、1つ1つの土地が隣接していることが大きな特徴だといえます。土地が隣接していることにより、周辺の土地に配置されたコンテンツによってユーザーが集中する場所が生まれたり、ユーザーが偶発的に新たな土地に出会えたり、という効果が期待できるためです。そのため、現実の不動産のように立地によって「LAND」の価格が変動しています。また、「LAND」の数は90,601区画という上限が設けられています。

 

「MANA」は『Decentraland』のゲーム内で使用できる暗号通貨です。2023年3月時点のレートは1MANA=約79円程となっています。LANDや、Wearable NFT、エモーションを購入できる他、『Decentraland』内でのイベントや、特定のLANDに入場するためにも支払われます。

 

ユーザーが制作できるコンテンツ

『Decentraland』では、クリエイターがマネタイズできる世界を目指しており、ユーザーが様々なコンテンツを制作して売買することができます。

 

「Wearables」は、アバターの見た目を変化させるための着せかえアイテムです。トップスやパンツにとどまらず、帽子やイヤリングなどの細かい装飾品も存在します。「Emotes」はアバターに短いモーションをとらせることができるものですBlenderをはじめとする3Dモデリングソフトから指定のファイル形式でエクスポートし、承認を申請することで販売することができます。また、アイテムを公開するためには1つのアイテムにつき、150ドル分のMANAを支払う必要があるようです。これは、スパムによる大量の申請や販売を防止するためであるとのことです。

 

また、ユーザーは自身が所有する「LAND」上にも制作物をつくることができます。『Decentraland』の公式サイトから、視覚的な操作で簡単にシーン(建造物や配置物を通してカスタマイズされたスペース)を作成し、「LAND」に反映することが可能です。

 

また、これらのユーザーのアクティビティに対して公式からはチュートリアルの動画や、クリエイター向けのページなどが豊富に用意されています。

 

 

トークンエコノミクス

『Decentraland』のトークンエコノミクスについて、考察していきます。

 

『Decentraland』には、前述の通り「LAND」と「MANA」の2つのトークンがあります。「MANA」は「LAND」の購入、バーチャル空間上での商品の購入や、サービスを受けるために使用することができます。

 

「MANA」は『Decentraland』に参加するユーザーと、商品・サービスを提供するクリエイターや企業のネットワークを構築することによって循環を生み出すことができると考えられます。

 

『Decentraland』では、コンテストを実施し、クリエイターにインセンティブを支払うことによって先にコンテンツを充実させる施策を実施しているようです。

 

記事執筆時点でも、直近で「MVFW23」というファンションに関するイベントが予定され、Coach、Dolce&Gabbana、Tommy Hilfigerを始めとしたブランドが参加する中、個人のクリエイターも参加が可能なイベントとなっています。

 

画像引用元:Up Next on the Runway—Your Emote: MVFW Emote Contest | Decentraland

 

コンテンツの充実はユーザーを増加させ、ユーザーの増加はさらにクリエイターを呼び込みます。これにより、「LAND」と「MANA」両方のトークンの需要を伸ばすことができるでしょう。

 

『Decentraland』のおける経済圏の概要についてはホワイトペーパー内で公開されています。

 

トークンエコノミクスの設計や他ブロックチェーンゲームとの比較を知りたい場合は、コチラの記事をご覧ください。

 

 

コミュニティの運営方法

『Decentraland』のコミュニティはDiscord上で行われています。そして『Decentraland』最大の特徴はDAOが存在するという点です。DAOとは、日本語では分散型自立組織と訳され、大きな権利を持つ管理者が存在せずとも、運営がなされる組織を意味しています。

 

Decentraland DAOには、「MANA」や「LAND」を保有することによって参加することが可能で、その保有量によって投票に参加する際の投票権の数が変化します。つまり、より多くの「MANA」や「LAND」をもっている人程、自分の意思をプロジェクトに反映しやすくなります。

 

画像引用元:Decentraland Governance

 

DAOでは、様々な提案に対して投票が行われており、トレジャリーと呼ばれるDAOの財産を使用してプロジェクトの方向性の決定と運営が行われています。例えば、以下画像の提案はDAOの戦略に関する提案で、投票の状況も確認することができます。

 

画像引用元:DAO Strategy and Roadmap

 

本メディアでは、具体的なコミュニティ運営や広報活動の手法なども解説しています。

本内容について詳細を知りたい方に関しては、コチラの記事を参照していただければ幸いです。

 

 

運営体制

開発・運営チーム

『Decentraland』はアルゼンチン人のAri MeilichEsteban Ordanoによって開発が行われました。現在は、非営利団体Decentraland Foundationによって運営が行われており、DAOによってプロジェクトの方針が決定されています。また、DAOをサポートする役割としてセキュリティ諮問委員会 (SAB)が存在し、バグの修正やスマートコントトラクトの修正を行っているようです。SABはコミュニティによって任命された5人で構成され、彼らが全会一致の場合のみ修正が可能な仕組みになっています。

 

運営期間

2015年5月からTwitterでの発信や広報活動を開始しており、2023年3月時点で運営期間は4年10ヶ月となっています。

 

約5年の情報発信、コミュニティ形成の後、2020年2月に一般にサービスを開始しました。

 

 

この5年の間に実施された施策の詳細(時系列での流れや効果の分析)に関しては、コチラの記事を参照していただければ幸いです。

 

 

マネタイズ

『Decentraland』の資金は、「LAND」と「MANA」の販売によって確保されました。また、持続的なマネタイズポイントとして、マーケットプレイスの販売手数料があります。『Decentraland』内のマーケットプレイス、およびOpenSeaでは2.5%の手数料が設定されています。『Decentraland』内のマーケットプレイスでは、その売上と手数料によってDAOが獲得した金額が提示されています。

 

画像引用元:Decentraland – Marketplace

 

将来性

『Decentraland』は将来的にも盛り上がっていくのではないかと考えています。

 

画像引用元:CoinMarketCap – Decentraland

「MANA」の価格は2021年末の暴騰後から、0.3ドル〜0.7ドル周辺を推移しています。

大きく値上がりは見せていないものの、『Decentraland』には多くの企業が参入しています。

 

2022年から「 Metaverse Fashion Week」というイベントも開催しており、有名なブランドも参加しています。このように、大企業がメタバースに関心を示している流れの中で、『Decentraland』はその受け皿となり得る可能性があります。

 

大企業の参入が加速していけば、「LAND」は不動産に近い特性を持っているため、2021年に見られたように投機的な目的によるユーザーの参加も期待できます。しかし、投機的な目的のユーザーは、バブル状態が終わると離れていってしまうため、継続的にプレイしてくれるユーザーを獲得していけるかが課題になると考えられます。

この記事を書いた人

EY Strategy and Consulting入社後、グローバル案件を担当する。YouTuberのコスメディレクターや広告運用を経験後、Web3領域でゼロスリー(株)を創業。ソフトバンクアカデミア14期生。

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