本記事ではNFTプロジェクトである「最終未来少女」のマーケティング施策についてを分析・解説していきます。
プロジェクトの概要
最終未来少女は、バーチャルワールドである「最終未来」を舞台にしたNFTプロジェクトです。最大の特徴は、NFTプロジェクトの主人公であるバーチャルワールドで活躍する2人のアイドルが、現実世界に実在するアイドルとリンクしているという部分です。NFTを購入して、実在するアイドルである「最終未来少女」の推し活を楽しむことで推しポイントを獲得することができ、NFTの見た目をカスタマイズしていったり、獲得ポイント数によって変動するティアの上位を目指したりという楽しみ方ができます。
初期ファンの獲得方法
プロジェクトの初期にファンを獲得するための施策は、過去のツイートから確認することができます。
例えば、現在確認できる一番古い投稿では、premintのリンクが添付されており、ALの配布が行われていたことが分かります。また、そのツイートに返信する形で先着1,000名のDiscord参加者にはOGロールを付与すると読み取れる内容が確認できます。
ALやOGロールなどのインセンティブを設計することによって、初期のファン(フォロワー、Discord参加者)を獲得していきました。
[ Loading Virtual World. ] [ The Real Safe Haven. ] [ バーチャルワールド読み込み中。]https://t.co/PkqAHakwF4 pic.twitter.com/38Q7vUwmni
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) January 7, 2023
また、その後も継続的に世界感が溢れるツイートをすることによってプロジェクトの魅力を発信していきました。以下のツイートでは2.5万のインプレッションを集めています。
[ A Safe Haven for All… ] [ Enter the Utopia. ]
最終未来に目,耳,心を開きましょう。 pic.twitter.com/9hkxoDJJMp
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) February 7, 2023
初期から最終未来少女が大きな注目を集めることができた要因として、既存の有名NFTプロジェクトとのコラボを行っていたことが挙げられます。主要なコラボ先としては、電殿神伝やYu-gi-en、IROIRO、digital Dokaなどがあります。
⚡ 最終未来少女 x 電殿神伝 ⚡
.partner: @saishumirai;
.art: Saishu Mirai Shoujo lead artist @nyamofe;
} pic.twitter.com/p1glTu1dtn— mico (@DenDekaDen) February 19, 2023
NFTセールの実施状況
最終未来少女は2023年3月に4,000個のNFTを販売しました。
購入希望者はDiscord・Twitter・ブログでの発信や、Twitterスペースへの参加によって、ブロンズ、シルバー、ゴールド、プラチナ、ブラックというティアを上げていくことで購入する権利を獲得することができました。ティアごとに価格(〜0.088ETH)や販売のタイミングが設定されており、高いティアの方がより安く、多く購入することができました。
画像引用元:https://nft.saishumiraishoujo.com/utilities/tier/
該当ティアの人が先着順(購入上限あり)で購入できるフェーズ1、該当ティアの人が確定で5つ購入できるフェーズ2、フェーズ2の残りを全てのティアの人に向けて販売するフェーズ3を経て、4,000個、総額6,600万円分が完売しました。(当初5,555個の販売を予定していましたが、ミント当日に発行上限を4,000個に変更しました)
[ SOLD OUT ]
[ Citizens ] – The treasury been filled. The ONLY way to gain access to the utopia is from the secondary markets. [ Just the beginning. ] – We have PLENTY more in store for all of you! We will be giving announcements every 2 days for the next few weeks.— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) March 25, 2023
ALの配布数
最終未来少女では、ティア制度を使用してNFTの販売を実施しました。
詳細な各ティアの人数について確認することはできませんが、公式からの発表ではパブリックセールを行わないとしていたため、NFTの購入はすべてティア保持者によるものということになります。
また、購入上限が1つのブロンズと、2つのシルバーへの販売個数は1,897個であったため、最低でもこの2つのティアだけで900人以上の方が購入可能であったと考えられます。公式のツイートでは、この2つのティアへ向けた販売はオーバーアロケーション気味であるとの発言もあるため、実際にはもっと多くの方がこの2つのティアに属していたのではないでしょうか。
また、ゴールド、プラチナ、ブラック向けに販売された個数は3,703個です。ブラックのティアに属する人は最大5つ購入することができるため、最低でもこの3つのティアに740名が属していたと考えられます。
ALの配布数(ティアに属する人数)は上記の計算から最低でも約1,600件を超えると考えられますが、結果として供給量を約1,500個程減らしたということを考えるとAL配布による販売は成功とは言えないでしょう。
実施したキャンペーン
最終未来少女で行われたキャンペーンには以下の様なものがあります。
PREMINTによるAL(ティア)の配布
SMS | 最終未来少女 | Saishu Mirai
[ Launching March 24 ]It is your last chance to win a ticket to Utopia!
Will you take your chances or continue living in doubt? The choice is yours!https://t.co/S6izPh6TxO pic.twitter.com/GvgCLGuVZL
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) March 21, 2023
密会と呼ばれるTwitterスペース(AMAの実施)
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) February 26, 2023
NFTの販売場所
最終未来少女のNFTは、ミントサイトでミントが実施された後、OpenSeaで取引が行われています。
画像引用元:https://opensea.io/collection/saishu-mirai
Twitterの運用方法
英語でのツイートと海外への発信方法
最終未来少女では、基本的に英語でツイートが行われています。
また、Twitterのスペースに関しても、日本語、英語に分けて開催しています。
そのため、プロジェクト初期から海外のユーザーを取り込むことを視野に入れてスタートしていることが分かります。
更に、言語だけではなく、ツイートに画像や動画を使用しています。動画でキャラクターなどが喋ることはなく、日本語や英語の文字がでてくることもありません。(ロゴを除く)これらのツイートの狙いとして、言語を使わずに世界感を共有する目的があったのではないかと考えられます。
[ A Safe Haven for All… ] [ Enter the Utopia. ]
最終未来に目,耳,心を開きましょう。 pic.twitter.com/9hkxoDJJMp
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) February 7, 2023
プロジェクトのシンボルとなるツイートの形
最終未来少女では、[ ]を使用した、英語3行、日本語1行のフォーマットでのツイートが多く見られます。また、その他のツイートでも[ ]を使用することで、ツイートに一貫性を持たせています。これらの工夫によって、ファンの共通認識をつくるとともに、Twitterのタイムランに表示される多くのツイートの中から見つけて貰いやすくなります。
[ Customize Your Reality. ] [ Live Your Best Life. ] [ Saishu Mirai Awaits You. ]
あなたの選択で個性が決まる。 pic.twitter.com/vf3aABpGoI
— | Saishu Mirai Shoujo | 最終未来少女 | (@SaishuMirai) March 10, 2023
まとめ
本記事では、最終未来少女のマーケティング施策について分析をしてきました。最終未来少女は、実在するアイドルを応援するというコンセプトや、ティアという制度を活用したNFTの販売など、目立った特徴を持っています。しかし、そういった全体的な部分以外にも、ツイートに画像や動画を多様している点や、ツイートを特徴的なフォーマットで行うなどの工夫も見られます。本記事がNFTプロジェクトにおけるマーケティングやコミュニケーションについての参考になれば幸いです。